【実体験】幽霊に馬鹿にされた話7
無くなってしまった録音
あの事があって数年が経った。
何回かその『声』が入ったテープを色々な人に聴かせた事もあるし、どこかに持って行った事もあった。
そして直近ここ数年前に、またしても不可解な事が起こった。
テープはその後も持ち続けていて、今現在も今私が住んでいる住居にあるのだが、ある時また一連の話と共に、「その録音されたテープあるからさ、聴いてみる?」という運びになった。
当時私とKがおふざけで録っていたテープは合計で3本程。色は黄色、紫、水色。『声』や『浜崎あゆみのCD』が入ってしまったテープはその内の1本で、色分けがされているのでどれがどれか分かり易い。
問題のテープは黄色。過去に何度も聴かせているので、どこで再生が始まっても前後のくだりで大体問題箇所をすぐ見つける事ができる。
……が。
その日『ここで間違いない』という所まで巻き戻したり早送りしても一向に辿り着かない。前後の「〜以上、レースでした」という周辺の音声が聴こえてこない。
そんなはずはない。
そんなはずはないと、「え、ちょっと待ってね」と聴かせる相手の顔が怪訝になっていくのを横目で見ながら、必死に該当箇所を探す。
キュルキュルキュルキュル……。
何度再生しても、出てこない。とうとう頭から最後まで再生するも、問題箇所が出てこなかった。
テープを間違えた?数年ぶりに再生するので、どこかで記憶違いで黄色のテープだと思っていたが実は紫か水色の方だったか?と、立て続けに別のテープも再生してみるが、私とKの声は入っていたものの、2本のテープにも該当箇所は無かった。
結局全て最初から最後まで再生したが、あの『声』が入った箇所は何故か無くなってしまっていた。
明確な理由はわからないが、例えばあるタイミングで重ねて録音してしまったとか、実はテープ自体4、5本あり、それを紛失してしまったとか(黄色と思っていたのも記憶違い)、テープの故障か。
当時『ほんとうにあった呪いのビデオ』シリーズにいつか投稿しよう、なんてKと話していたので、その時初めて何故か問題の箇所が見つからない事に愕然としてしまった。
果たして幽霊は存在するのかどうか
以上が私の体験した不可解な出来事です。
私には『霊感』はありません。しかしこういった事を信じるか信じないか、と言われたら、この出来事を体験してから、
『幽霊がいるかどうかはわからないが、科学で証明出来ない事は存在する』
と思うようになりました。
この体験を通して厳密には私自身というより、Kの体験であったわけですし。
もうひとつの考え方として、単純に科学的に証明出来てない段階であるだけで、例えばそれが生きている人間の能力の一部ではないか、とも思っています。具体的な説明が難しいのですが、人間自体(例えば脳の事)が実はほとんどわかっていない、なんて話を聞くと人間の思念で作り出してる物が世の中に溢れている、そんな事があっても不思議ではないなと考えたりします。
何にせよ、体験した事は本当で、20数年経ってもテープに録音された音声は脳内再生が可能です。
テープは今も家にあります。あれから2回引っ越しをしましたが、捨てずに取ってあります。消えたと思っている録音も、案外今再生した実は消えずに残っているかもしれません。
やはり思い返していても凄いなと思うのは、『バーカ』という言葉です。耳元で囁いて言い聞かせるようにちょっと笑ってるんです。今その場で、口角を上げて馬鹿にするように「バーカ」と言ってみてください。それです、その感じで言っています。
確かに馬鹿な事をやっていたんです。
あなたがもし幽霊になって見ず知らずの人の家で浮遊し、その人が家で1人でアホみたいにテープに訳のわからない事を録音して楽しみだしたらどうするでしょうか。
私も思わず言ってしまうかもしれない。
耳元で「ばぁぁぁああか」と。