kumorinekoの雑記

東京在住、とりあえず始めます。

【初めての台湾旅行記⑥】2日目、雨の九份(チウフェン)【2023年5/14日現在】

バスで九份に向かう

十分から瑞芳駅に戻り、そこからバスで九份へ向かうのが1つのスタンダードな形だろう。

逆に朝から九份に赴き、暗くなる時間帯に十分に向かえば綺麗なランタンショーを見る事ができるので、それも悪くない。台北からの方向としては同じなので、タイトなスケジュールで両方楽しみたい人は恐らく同日に十分と九份に行くだろう。

 

瑞芳駅からの行き方はバスが御多分に洩れず1番良いと思う。当然タクシーより単純に料金が安い。

『瑞芳駅』 なかなか味がある

駅からすぐの街並み なかなか味がある

 

駅を降りてすぐいくつかのバス停留所があるが、列をなしている事もあるので……というネットの記事を参考に、駅から少し離れた停留所まで歩く事にした。

バスは路線によって3桁の番号で区別されていて(例:303、315)、いくつかは九份に辿り着くルートを通る(はず)。その時のお目当ての番号がいくつだったかは忘れてしまったが、タクシーの勧誘を躱しながら歩いて5分程でそれらしい停留所を見つけ、観光客らしき人も何人か待っていた様なので近づいてみると、そのタイミングでちょうどバスが来た。

来たのだが、勝手に所謂日本の路線バスを想定していたのでその大きさに一瞬戸惑う。大型バスなのだ。台北ツアー御一行様という旗を持った皆んなで乗り込む様な大型バスなのだ。

おまけに番号は間違いないはずなのに、停留所で溜まっていた人達に動く様子も無い。

多少の不安はあったが、とりあえず乗り込み悠遊カードをタッチする前に運転手に日本語で「キューフン?」と尋ねてみると頷いたので着席する事にした。そのまま扉は閉まり誰1人乗車する事なく発車。50人は座れるであろうバスが貸切になった。

途中停留所に1度も停まる事なく山道をひたすら快走し、無事『九份老街』という停留所で降りる事になった。実は当初はもう1つか2つ先の停留所で降車予定だったが、外国の路線バスはよく分からない事もあるので、まぁ良いかという選択だった。

展望台と日本人

多分台湾をよく知らない人でも、何かしらの機会で目にした事があるのではないかと思われる複数の提灯が幻想的に映っている山の中腹にある街並み、それが九份だ。

料理代表は小籠包、観光地代表は九份。旅行会社が長年作り上げてきた幻想かも知れないが、少なくとも日本人にはそのイメージが定着しているはず。

バス停から少し歩くと展望台があった。小さな展望台で、20段程上がった所に20畳位のスペースがあり、海や山が同時に眺められる。人はまぁまぁ犇いていた。この時雨が降る直前だったので霧が立ち込め、感動を覚える眺望ではなかったものの各々適当に写真を撮っていると「写真撮りましょうか」と突然青年に声を掛けられた。

聞けば11時半頃から九份に来ているが(この時17時半頃)、日本人を見かけたのが私達が初だったので思わず声を掛けたという。私達が交互に「いいね〜、良い表情だね、うん、もっと頂戴」とアホみたいに写真を撮り合ってる声が聞こえ、日本人と認識したらしい。それを見られていたと思うと恥ずかしくなった。北海道から来ているらしい彼は私達が東京から来ている事を伝えると「都会ですね〜」なんて言っていた。

ちなみに写真は丁重にお断りした(なんで?)。

辿り着いたバス停の案内 

山には霧が立ち込める

展望台からの景色 晴れていたらさぞかし綺麗だったろう

 

街の中と強くなる雨

近くのコンビニで水を購入後、『基山街(チーシャンチエ)』という商店街に足を踏み入れる。普通の速度で歩けない位、観光客でいっぱいだった。旗を持ったツアーの人達も大勢。特に韓国人の御一行は案内役の声が街中に響くのでないかという大声でナビゲートをしていて、周りも「何だ何だ?」というリアクションをしていた。

狭い通路に、隙間なく色々な店が並ぶ。ここもまた、日本で言えばお祭りだ。THE・オリエンタルな雰囲気、活気、人いきれ、臭豆腐のにおい。無数にぶら下がる提灯は誰が最初に考えたのだろうか。あれがあると無いとでは丸っ切り世界が変わるはずだ。

入り口で景気づけに揚げたこ焼き風の何かを食し、そのまま流れるように商店街を進んで行った。同じ様に声を掛けてくる同じ様な内容のお店が何件も続く。こういう所は、ただ歩いているだけで楽しい。カシャカシャ写真を撮りながらしばらく進んでいると、いよいよ雨が本格的に降り出してきた。建物が犇きあった間の路地をすり抜けているので各お店から出ている屋根で雨が凌げる所もあるが、雨をダイレクトで受け止める所もいっぱいある。

料理名は覚えていない そして味も

 

お茶……だったと思うが、美味しかった

 

傘を持っていない観光客はその屋根の下を通りたいので、ただでさえ渋滞しているのにそれが更に酷くなる。商店街の途中下に向かう狭い上に勾配キツめの階段付近はもうグチャグチャだった。

『豎崎路(シュウチールウ)』と言うらしいこの階段。滑らないように気をつけながら階段を降りる。

誰もどいてくれ!とは叫ばない

 

だがこの階段は絶好のフォトスポットで、立ち止まって写真を撮ってる人を避けながら階段を気にしながら傘を持ちながら景色を見ながらでもう大変。いやそこで立ち止まらないでよ、と心の中では思うが気持ちはもの凄くわかる。

そのまま人を避けながら急な階段に気を付けながら1段1段下っていくと、少し開けた空間に出た。見上げるとよく見る写真のスポットらしき建物があるが、どうやらここからのアングルでは無い。

開けた空間 雨宿りをしている人が多かった

 

下に伸びている階段を更に下降する。雨のせいなのかここまで来ると人も疎らになっていていた。今がチャンスと途中のお土産屋さんのおばさんに声を掛け、2人の写真をお願いした。笑顔で快く応じてくれた。

この辺りで既に私達の身体は悲鳴を上げていた。前日の疲れも完全に取れて無いのに、気が付いたらかなり歩いている。続く階段を更に進むと、とうとう下まで着いた様だった。が、何もない。というか、降りた先は当初出発予定地だった『九份』というバス停に違いなかった。

一瞬人がほとんど居なくなる

 

階段を下りた所 ここにシャッターが閉まったお店の灰皿あり

 

情報だとこのバス停はとても混むので、ここから出発して私達が降りた『九份老街バス停』で帰るルートがスムーズだと書いてあるのを見たからだ。

どちらにせよどうでも良い。この時考えていたのはこの目で写真でよく見るあの景色を見たい、その一心だった。この時雨はピーク。時間は19時近く。辺りは漫画みたいに霧が立ち込めていた。軽く一服した後、再びあの急勾配な階段を登る事にした。

見たかった景色は……

足が痛い。

気力で階段を登る。さっき写真を撮ってもらったおばちゃんと15分ぶりの邂逅。

開けた空間に出た時、こっちからいけるんじゃ?と横道に逸れたが、数分誰も歩いていない細い袋小路を彷徨った挙句、どうやら私有地に出てしまいおじさんに戻れと言われる始末。

迷い道の途中 個人的にはあまり人が行かないであろう場所は好き 

 

もちろん常に地図は見ているし、立っている看板にも目を通しているのだが。

また同じ階段に戻ったところで、さっき妙に人がごった返して溜まっていたが特に気にする事なくスルーしていた場所に違和感を覚える。そう、そここそが例の場所だったのだ。

が。雨、傘、人で、とても満足する様な写真が撮れる状況じゃなかった。確かにその光景を目の当たりにしたが「あぁ〜ここ、見たかった場所ダァ!」なんて感動はなく、とりあえず確認してとりあえず写真を撮った。傘が邪魔になるので、雨に打たれながら。しかしこのスポットは超観光シーズンはどうなるんだ?この条件でこの人だかり。考えるのも恐ろしい。

見たかった『あの』景色 大雨が伝わらないのが悔しい

 

目的を終えた私達は、最後の気力を振り絞って階段を登りきり、来た道を引き返して入り口まで戻った。

最初に降りたバス停ではなく、その次のバス停から帰る事にする(ガイドブックにはどちらも『九份老街バス停』と記載)。もう数人の人が列を作っていた。一応都度何となく調べてはいるのだが、見ても完全にはよく分からなかったので、来たバスにそのまま乗った。

行きとは違い今度は満席だ。理想は台北市内まで一気に行ってくれる事だが、果たしてどうか。グネングネンしている山道もかなりのスピードで駆け抜けていくバス、どちらかというとそちらの方が心配だった。

やがて行きでバスに乗った『瑞芳駅』までたどり着く。数人が降車して行ったが、私達の目的地はその先だ。ちなみに日本のバスと同じくボタンを押して降車の旨を伝えるのだが、まず電光掲示板が見にくい上に漢字ではあるが正確には目的地の停留所かどうかは分かりにくい。

開いたままにしていたグーグルマップで現在地を確認しながら、恐らくここ、という場所手前で降車ボタンを押したが、何か光ったり音が鳴ったり変化がわからなかった。

という一抹の不安をよそに、私達は降りたかった場所で無事着く事ができた。もっとちゃんと調べたり携帯を使える状態にしたり諸々やりようはあるだろうが、何となくでも何とかなる。

九份にいた時点で頭の中に「今日行く予定の夜市どうしよっか……」と思案していた。昨日と同じく疲れ果てていた。

 

続く