kumorinekoの雑記

東京在住、とりあえず始めます。

カブトムシの値段

こんにちは。

 

あれは高校生の時。

仲の良い友人数人で、帰り道にかなりの頻度で寄っていた小さな商店があった。

友人の1人の家がそのお店に近く、幼少の頃からその商店を営む夫婦と知り合いという事もあって、週に4回はお店に顔を出していた。

店頭に今となっては古めかしいアーケードゲーム機が置いてあって、おばさんに鍵を借り、「もう〜しょうがないねぇ」と言われながらクレジットを連打して無料でひたすら格闘ゲームをやったりしていた。

 

ある夏の日、そのお店で採ってきたカブトムシを売ったらどうかという話になった。

当時私の田舎はちょっとした森に行けば結構カブトムシやクワガタがゴロゴロいたので、ほんの少しの小遣い稼ぎとして提案してみたのだ。

お店のおばさんも承諾してくれ、学校の帰りに制服のまま早速近くの森に繰り出す。

 

捕まえる方法は原始的だ。

例えば餌となりそうな蜜を木に塗り、夜になって静かに待つなんて事はしない。

昼に森に向かい、それっぽい木を見つけて蹴りを1発、2発、3発!

サッカー部が何人かいたので、蹴りの威力は文化部よりは強力だったはず。蹴るとバラバラっと色々落ちてくる中に、目的のカブトムシやクワガタがいるのだ。

地面に落ちたそいつらを拾い、カゴに入れて終了。

売る用のカゴ1個に2、3匹入れていただろうか。それを600円程で店頭に出していた気がする。

高いのか、安いのか。

それでも、近所の小学生に重要があった。何回か売れた。

 

森にはもちろん色々な虫がいた。

スズメバチが大量にいる木に出会し文字通り必死で逃げたり、蹴って落ちてくる中に毛虫の類もチラホラ。

それなりに命をかけていたのだから、600円という値段は決して高くはなかった……と思いたい。

 

現代の小学生達は、もし小さな商店にカゴに入ったカブトムシを見つけたら心ときめくのだろうか。

きっと、ショップで買ってきたポケモンカードの方が喜ぶのであろう。

「このカードね、○○君からもらったの、3000円で売れるよ」

と目を輝かせながら説明してくれる小学生の甥っ子を傍目に、そんな事を思った。