kumorinekoの雑記

東京在住、とりあえず始めます。

【実体験】幽霊に馬鹿にされた話2

録音された声

その日私はKの留守中に、Kを笑わすべく、適当にくだらない事を録音し始めた。学生時代の教師の声のモノマネなど、完全な身内ネタ。今聴いてもきっと面白くない。

 

Kの帰宅後、とりあえず聴かせてみた。

「お、あいつかアハハハ!」

と、特徴のある教師のモノマネは少しウケた。元々Kの方が遥かに笑いのセンスがある為、私の録音など前座と言ったところか。私はバイトで家を空ける為、Kはその夜1人で録音をした。バイトの最中、どんな面白いものが出来上がるのかワクワクしながら仕事をしていた。

 

 

その日の朝。

アルバイトを終えて早速帰宅し、開口一番、

「おい、どうよ?面白いの録れたか?」

とKにニヤニヤしながら話し掛けた。

「ん、ああ……」

どこか怪訝な顔をして、落ち込んでる様にも見える声が力なく答えた。まさかこんな下らない遊びにも関わらず、私を笑かすに足りない不出来さに納得いかないとでもいうのだろうか。するとKは真剣な顔でこちらを向き、

「ちょっと声が入っちゃったかもしれない」

と言った。

……声?最初は何の事を言ってるのかわからなかったが、Kの顔が真剣なだった為、もしかして何かその、とにかく良くない事が起こってるのだろうと察知した。

「1回さ、お前も聴いてみてくれない?」

手招きされ、Kの近くに座る。目の前にテープレコーダーを置き、Kがキュルキュルキュルキュルとテープを巻き戻す。何度か再生し確認しながら、この辺なんだけど、と『声が入っちゃった』というところが見つかった様だった。「行くぞ」という声に返事はせず、緊張しながら、耳を澄ます。

 

 

問題の箇所の再生が始まった。

チキチキマシン猛レース』というアメリカのアニメはご存知だろうか。私達の年代でもリアルタイムではなかったが、Kはそのアニメを模倣したパロディを録音していた。それぞれのキャラクターを地元の仲間に変換し、○○(友人の名前)号〜橋に引っかかりました〜脱落!おーっと○○号もの凄いスピードだ!と言った具合に。

 

どこの箇所に何の声が入っているか緊張しながら聴いてるものの、なかなかの出来に時々クスッと笑ってしまう。しかしそれはレースが終わりに近い時だった。

 

「〜以上、レースでした(ばぁぁああああああか)

 

……え?

 

明らかに、完全に明確に、『声』が入っていた。