上京した直後の頃
こんにちは。
すっかり春の陽気。
20数年前、上京した頃を思い出す。
専門学校に通う為静岡の田舎から東京へ。東京へは数える程しか来た事が無かった。
専門学校に行きたかったというより、親元を離れて1人暮らしがしたかった気持ちが強かった気がする(とは言っても2年間は親の脛を齧るのだが)。
全く土地勘のない(当たり前だが)中野のロフト付きの狭いアパート。
ロフトは住んでみないとその意味の無さがわからない。3点ユニットバス。JR中野駅から徒歩20分。それでも当時は自分の城を持てた様で嬉しかった。
近くに24時間では無い小さな個人経営のコンビニがあり、よく通った。レジ横にCDが販売されていたのを覚えている。
元々サブカル文化が好きだったので学校帰りに意味なく中野ブロードウェイに行き、買いもしないのに『まんだらけ』を数店舗周るのが楽しかった。
今考えると恐ろしいが、当時新聞の勧誘がひっきりなしに来て、何も知らない私はベルが鳴ると無条件で玄関先に出てしまっていた。野球のチケットやトイレットペーパーをチラつかせて1ヶ月だけでもいいから契約してくれというあれだ。時には強面のあんちゃんが力強い言葉で強引に事を運ぶ事もあった。
手を出された事は流石にないが、ある時期2社か3社同時に新聞を契約していた事があり、玄関の小さなドアポストに入らないくらいの新聞が詰まっていた。束になった新聞を紐で縛って週1で捨てるのが日課になった。
流石に何回も同じ目に遭って学習したつもりが、ある時また不意に出てしまい(というか引越しの挨拶を装ったり、奴らも様々な手段を駆使してきた)出てしまったからには強気で対応していたら、凄んだと思ったら今度は文字通り泣きつかれた事もあった。
色々おかしいが、今となっては良い思い出。今もそういうのはあるのだろうか。時代なのだろうか。
あの頃ビリヤードにハマっていて、私の家とは反対側の駅の出口方面で地下にひっそり佇むお店に何度か行った。名前は忘れてしまったが、ポケットビリヤード台が2つ、キャロムビリヤード台(ポケットが無いもの)が1つの小さなお店。スキンヘッドで愛想の無い店主が常連とキャロムビリヤードを楽しんでいる様なそんな、20歳にも満たない学生にはちょっと早い雰囲気があったのだが、何故か気に入って都度顔を出していた。
いつだったか店主が話し掛けてくれる様になり、「俺はもうポケットはやらねえからなあ」とか言いながら色々教えてくれた。我流で思うがままに楽しんでいたのだが、手玉のどこを撞くとボールがどう回るなど手取り足取り閉店間際まで教えてくれた事があり、よりビリヤードが好きになった。
何年か前に確認した時にもうお店は無くなってしまっていた。
今現在当時思い切って買ったマイキューはケースに入っているもののホコリを被り、ビリヤード自体すっかりやらなくなってしまったが、あの時教えて貰った日と技術は鮮明に覚えている。
中野の街自体、20年前に比べるとだいぶ変わった部分が多い気がする。
駅前に公園のような広場があったのだが、中野とという土地柄もありお笑い芸人がネタの練習をよくしていた。今活躍中の芸人をもしかしたら何度か目撃しているかもしれない。
持ち込み自由なお化け屋敷の様な有名な喫茶店があり、結局1度しか行けなかった。
中野サンプラザも解体される。
数年前その中野で初めて住んだアパートを見に行った事があるが、あの当時のまま静かに佇んでいた。
気が付けばいつの間にか地元にいるより東京の方が長くなってしまった。